車両解説
1960年代、フェラーリ買収を目論見、失敗に終わったフォードはル・マン24時間レースの常勝チームであるフェラーリを打ち負かす為に白羽の矢をアメリカ・テキサス生まれの元レーシングドライバーで自動車デザイナー、コンストラクターでもあるレース界の大物キャロル・ホール・シェルビー(1923-2012)に託した。
シェルビーは66年ル・マンでフォードGT40(ネーミングは車高が40インチ)で1位から3位まで独占し、総合優勝した。
これは2019年の映画「フォードVSフェラーリ」の脚本となり、俳優マット・デイモンがキャロル・シェルビーを演じている。
シェルビーがイギリスのACカーズのシャーシにフォード製コブラエンジンを搭載したシェルビーACコブラが有名だが、フォード・マスタングに同じコブラエンジンを搭載したシェルビー マスタングGT500KR(KRはKING・OF・THE・ROADの略)は68年の1年のみ製造され、GT500を凌駕するスペック、コブラジェット428、コブラルマンV8、ショックアブソーバー、トラクションLSDなどが与えられた。
しかし、カタログ上のスペックは335HPとGT500を下回っている。
これは厳しい検査を逃れるためであるが、これは捏造ではなく、吸気・排気を設置して計測、通常は全て取り払いエンジン単体で計測される。実質は400HP以上が計測されている。
ちなみにあまり知られていないがトヨタは、アメリカでのレース活動をキャロル・シェルビー率いるシェルビーレーシングに委託し、シェルビーはSCCAレース用に3台の2000GTのレースカーを作った。
シャシーナンバーMF10-10001と末番が05、06の3台、01は驚くべき生産第1号だ。
GT500KRはその名が示す通り、アメリカンヴィンテージマッスルの王道、走る水戸黄門か。
- 年式
- 1968年
- 生産国
- アメリカ
- 全長/全幅/全高
- 4,663mm / 1,801mm / 1,316mm
- 車両重量
- 1,619kg
- エンジン
- V8 OHV コブラジェット428 コブラルマン 7,014cc 4MT
- 最高出力
- 400hp / 5,200rpm
- 最大トルク
- 44.0kgf·m / 3,400rpm
- 生産台数
- 1,053台